たんぽぽの土手






春の陽を、ゆらゆら揺れる黄色が見上げる。
春風に、ふわふわ白綿が漂い空へ消える。

川を見下ろすたんぽぽの土手は、今日もいい天気。
最近、お昼の休憩はずっとここに通っている。
心地よい陽だまりの場所。



土手沿いに歩いていると、草の中にごろ寝する、いつもの姿を見つけた。
近付くと彼は、なんとも幸せそうにお昼寝中。
隣に腰を下ろし、見つめてみる。
無防備な寝顔。
なのに、私の方が護られているみたいに安心してしまうのは、どうしてだろう。

いつからか、どちらからともなく。
私たちは、よく晴れた日の昼には、ここへやって来る。
お昼を食べたり。
ジャンプを読んだり。
ウトウトまどろんだり。
隣り合って、それぞれ思うように過ごす。
そして、時間が来ると別れる。
ほとんど話さずに過ごす事も多い。
それでも、一日で1番、暖かで幸せな時間。

風に揺れるふわふわの銀髪を指で梳いた。
柔らかく太陽を映す髪。

綿毛みたいね。

花を終えて風を待つたんぽぽは、いつも一人でふわふわ。
どこまでも気ままに飛んでいってしまうところまで、そっくり。
きっと私の知らないところで、たくさん花を咲かせている。
街中に根を張って、そしてまたどこかへ飛んでいく。
次の新しい花を咲かせるために。

それでもいい。
風が吹くまで、こうして側にいられるのなら。
それだけでいい。


そんなことを思ってみたりする。
好きな人の隣。
眠気を誘う、
たんぽぽの土手で。