たんぽぽの土手
[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。 春の陽を、ゆらゆら揺れる黄色が見上げる。 春風に、ふわふわ白綿が漂い空へ消える。 川を見下ろすたんぽぽの土手は、今日もいい天気。 最近、お昼の休憩はずっとここに通っている。 心地よい陽だまりの場所。 土手沿いに歩いていると、草の中にごろ寝する、いつもの姿を見つけた。 近付くと彼は、なんとも幸せそうにお昼寝中。 隣に腰を下ろし、見つめてみる。 無防備な寝顔。 なのに、私の方が護られているみたいに安心してしまうのは、どうしてだろう。 いつからか、どちらからともなく。 私たちは、よく晴れた日の昼には、ここへやって来る。 お昼を食べたり。 ジャンプを読んだり。 ウトウトまどろんだり。 隣り合って、それぞれ思うように過ごす。 そして、時間が来ると別れる。 ほとんど話さずに過ごす事も多い。 それでも、一日で1番、暖かで幸せな時間。 風に揺れるふわふわの銀髪を指で梳いた。 柔らかく太陽を映す髪。 綿毛みたいね。 花を終えて風を待つたんぽぽは、いつも一人でふわふわ。 どこまでも気ままに飛んでいってしまうところまで、そっくり。 きっと私の知らないところで、たくさん花を咲かせている。 街中に根を張って、そしてまたどこかへ飛んでいく。 次の新しい花を咲かせるために。 それでもいい。 風が吹くまで、こうして側にいられるのなら。 それだけでいい。 そんなことを思ってみたりする。 好きな人の隣。 眠気を誘う、 たんぽぽの土手で。 |