「先生、生徒を好きになったこと、ある?」

いきなりの質問に、眉間にシワが寄るのが自分でもわかった。
何言ってんの?こいつ。

「いや、だから。お前じゃん」
「そうじゃなくて。ほかに」

それでやっと意味がわかった。

「ねーよ、そんなん」

当然安心すんだろうと思っていた俺の答えに、何故かこいつは不満ヅラ。
わけわかんねー。


「ある、って言ってほしかったわけ?」

俺の質問に、一時の間。
そしてこいつは、はっとした顔をした。

今お前、やっぱりそれもイヤ、って思ったろ。
バカだろ、お前。

生徒だとか。
教師だとか。
今までどうだったとか。
これからどうなるとか。
そんなん構ってらんねーからぶっちゃけたんだろーが。
余計なこと考えてる余裕ねーんだよ、俺ァ。
お前に対してだけは。

そんなこんなに気付きもしないこいつが、俺は不満。
でも気付かれんのも、なんか悔しーから不満。



結局俺も、

どっちにしても、不満。