「先生、生徒を好きになったこと、ある?」

いきなり質問してみると、先生の眉間にシワが寄った。

「いや、だから。お前じゃん」
「そうじゃなくて。ほかに」

やっと質問の趣旨が伝わったらしい先生は「ねーよ、そんなん」と、あっさり言った。

と、いうことは。
今までは、普通に年の近い人が好きだったの?
大人の女の人ってどんな感じだろう。
でも、きっと、私とは違う感じで。
私は、先生の今までと比べたら、きっと全然ガキで。


「その不満ヅラは何」

私が不満そうな事に不満そうな彼は、さらに眉を寄せる。

「ある、って言ってほしかったわけ?」

生徒を好きになった事がある。
と、いうことは。
私が卒業したら、新しくクラスに来た別のコを好きになる事もあるのかな。
なんて。
自分が考えそうな事が、容易に想像ついた。



結局は、

どっちにしても、不満。