お題「60000hitを記念して、あの人のお正月を覗いてみよう」






「銀時はいるか?!」

「いねーよ」

「いたか、銀時!なんだ貴様、正月だと言うのに冴えない顔しおって!」
「いねーって言ってんだろーが。勝手に入ってくんじゃねーよ。年明け早々ウザさがやんごとねーよ」
「やんごとなくない、桂だ。今日は俺が出した年賀状の返事を聞かせてもらいに来たぞ」
「ああ?なんのことよ。わかんねーから帰れよ」
「俺が貴様宛の年賀状にしたためた熱いメッセージを読んだはずだ」
「は?てめーの年賀状なんか届いてねーよ」
「何ィ?!嘘を言うな!」
「いや、だから来てねーって」
「そんなはずはない!俺は12月25日前に年賀状を投函したのだから確実に元旦に届いているはずだ!」
「知らねーよ。知りたくもねーし。いいから帰れって」



「…銀さん。もしかしてアレじゃないですか」
「んだよ、新八。お前見たのかよ」
「ほら、1通だけメッセージも差出人も無い宛名だけのハガキ届いたじゃないですか」
「あ〜。なんかあったね、そんなの。気持ちワリーから捨てたやつだろ?」

「何ィィィ?!貴様ァ!俺の年賀状を捨てたと言うのか?!」

「え?何?ホントにそれなの?真っ白だったけど?」
「正月に真っ白いハガキが届いたら、あぶり出し≠ノ決まっているではないか!」
「知るかァァ!今時あぶり出し≠ネんか小学生でもやらねーよ!大体あぶり出し≠フ時は『↑ここを火であぶってネ☆』とかって説明書きを加えんのが暗黙のルールだろうが!マナーを守れ、マナーを!」
「通常は、大量生産に便利なプリントゴッコで印刷するところを、貴様には特別に手作りであたたかみある年賀状を演出したのだぞ、俺は! 」
「お前まだプリントゴッコ使ってるんかィィ!いねーよ!このデジタル時代にそんなアナログな奴!」
「銀時、貴様知らんのか。たしかに初期のプリントゴッコはインクの色数も少なく仕上がりも荒いものだったが、俺のは違う!改良され、よりカラフルで繊細な表現を可能にしたニューバージョンのプリントゴッコ…」
「いや、だからソレも込みで古ぃーよ!大体てめぇにプリントゴッコが必要なほど年賀状出す友達なんかいんのかよ!」
「フン、当然だ。まずは志を同じくして戦う志士たちに。俺には、国の明日を担う奴らにかけるべき言葉があるのでな」
「ああ、新年の意気込みや結束の意を仲間に示すわけですか」
「違うぞ、新八君。攘夷志士といえど大事を成すには体が資本。『お正月お餅を食べ過ぎないでネ』と注意を…」
「桂さん、ソレ、小学生の年賀状です。冬休みの小学生がクラスメイトに出す年賀状です」
「それだけではない。他にもいつも世話になっている幾松殿や西郷殿、バイト先の店長、屋台のオヤジ、真選組…」

「えええ?!真選組?!真選組に年賀状出してんですか?!桂さん!」
「無論だ。日頃命を狙い合う敵とは言え、武士たる者、礼節を欠いてはならん」
「いえ…だからって…」
「毎年心を込めて、『餅を喉に詰まらせて死ね』と書いているのだが、なかなか叶わん。さすが真選組。手強いな」
「もうソレ礼節じゃなくてただの嫌がらせじゃないですか!ていうかアンタの年賀状の話題、餅オンリー?!」
「その魅力で人心を惑わし、気を緩めたところに牙を向く餅の姿は、我々攘夷志士の敵である天人にも通じるのでな」
「いや、強引!その通じ方強引!」



「…ていうか、桂さん。結局、銀さんへの年賀状に何を書いたんですか」
「いや、聞くなって、新八。聞いてほしそーだから聞くなって。喜ぶから」

「よくぞ聞いてくれたな!新八君!」

「…ほら見ろ」

「仕方あるまい。不本意だが書いた言葉を今この場で伝えよう。よいか、銀時。1年の計は元旦にあり。スタートを切るなら今しか無いのだ!俺と貴様が組めば、年明け早々日本の夜明けを見ることもできようぞ!今年こそ共に攘夷の道をレッツビギン!飛び出せ!天誅…」

「ハイハイハイ、もういいから。スベってるから。以下カットで。つーかミカン汁でどんだけ長ェ文章書くんだ、てめーは」
「レッツビギン」
「何回も言ってんじゃねーよ。アウトだよ、レッツビギンも。誰も知らねーよ。また読者様置いてきぼりだよ。つーかここ新年コーナーじゃなくて祝60000hitコーナーなんだけど。年賀状の話題一切関係ねーんだけど。どーしてくれんだよ、この感じ」
「何を言う。そもそも貴様がうっかりあぶり出さなかったのが全ての発端だ」
「いや、俺何一つうっかりしてねーし。知っててもあぶり出す気ねーし」
「いや、あぶり出しをあぶり出さん奴などいまい。見えない文字で何が書かれているのか気にならん奴などいるはずがない」

「ったく。おめーも辰馬もどーしてこう、年賀状くらいツッコミどころ無く出せねーのかね」
「…銀時、貴様、辰馬から年賀状が届いたのか?」
「あ?頼んでもねーのに来たけど、ソレが何だよ」

「…」

「…もしかして桂さん、来なかったんですか?」


「…おのれ辰馬ァァ!どういうつもりだァァ!」
「いや、どーいうつもりもこーいうつもりも、身を潜めて生活している攘夷志士が年賀状来ちゃうようじゃおかしいだろ。何も間違ってねーだろ、年賀状来なくても」
「何を言うか!来てなくないぞ!13通は来ました!」
「リアルな数だな、オイ。つーかダメじゃん。来てる時点で居場所バレてるっつーことじゃん。身ィ潜められてねーじゃん」
「もういい!貴様も辰馬も仲間とは思わん!覚悟しておけ。来年は、お年玉付き年賀ハガキではなく、官製ハガキで年賀状を出してやる!なんか後から思い出して慌てて書こうとしたけど年賀ハガキ足りないから官製ハガキでも別にいいか、的な扱いを受けた疎外感を味わうがいい!」
「ああ…そう。つーか、それでも出すことは出すんだ」

「帰るぞ、エリザベス!」
「帰れ、とっとと。一刻も早くバカのテリトリーに帰れ」



「…いかん!忘れていたぞ、銀時!」
「んだよ!しつけーな!」
「読者様に年始の挨拶を俺とエリーの人文字で…」
「だーから60000hitと関係ねーことすんなって言ってんだろーがァァ!」





「…銀さん、あの、せめて最後にひと言なんか祝いとか感謝的なコメントを…」
「あ〜、ハイ。パンパカパ〜ン、60000hitイエ〜。…こんな感じ?」
「…いや、やっつけになる気持ちもわからなくは無いですけど…」
「いんじゃね?もう。すべてヅラが悪ィっつーことで、かぶってるモン取って頭下げてもらおーや」
「…ああ、そうですね。僕らのせいじゃないですよね。今回は」

「つーことで終了〜、イエ〜」
「イエ〜」








と、いうわけで60000hit!
多くの方にお越しいただき、幸せなサイトです。本当にありがとうございます!
ていうか…いえいえ、ダメですよ。やっつけじゃ。読者様あってのサイトなのですよ。
あの、もっと、感謝のお言葉とかいただけないですかね、銀さん。
すいません。いつもながら失礼極まりないshort shortでございますが、
皆様には心より感謝いたしております。
これからも「春 夏 秋 冬」をよろしくお願いいたします!イエ〜